八重山の芸能は、他の地域と同様、信仰を軸にしながら、農耕生活の過程において生まれ、発達してきました。
沖縄全体に共通する要素として、「御嶽(ウタキ)信仰」が原始共同体の中心にあったことが挙げられます。沖縄が狩猟採集生活から農耕を主体とした生産経済へと移っていたグスク時代(12~15世紀)、人々は台地上に集落をつくり、村の守り神を祀った聖域として構えたのが「御嶽」です。
結願祭、ソーラ(旧盆)、種子取祭の芸能は、2007年(平成19)に「小浜島の芸能」と一括して、国の重要無形民俗文化財として指定されました。年中行事のうち、結願祭は神前で奉納される演目が主となっており、もっとも多くの芸能が演じられます。明治初期のころに、「節」と「結願」の二つの行事が一つになったといわれています。八重山の中でも小浜島にしかみられない独自の民俗舞踊「ダートゥーダ」が保存会の手により2001年に復活しました。
旧暦8月の戊亥のスクミから始まり、4日間行われます。2日目の正日(ショーニチ)では、北と南の二つの集落がそれぞれ伝承する芸能を奉納し、一般来当者も、ルールに従って舞台を見ることができます。
小浜島の自然植生の特徴の一つにリュウキュウチクが自生していることがあげられます。島内でも、土壌や生育環境により、径の太さや高さが異なります。この竹は、建築補助材、垣根材、農業資材に今も利用さています。
竹は、沖縄の芸能に書かせない楽器である横笛の原材料でもあります。古くから小浜島に笛吹きの名人が多かったのは、竹材に恵まれていたからです。化学製品や輸入材に圧倒され、島の竹は出荷されなくなり、竹林は荒廃し、現在は一部の竹林のみ利用しています。その中でも横笛の材料である竹は、節の長い良質の竹が島にはあります。
リュウキュウチクのほかに、ダイモウダキ(タイミンチク)も確認されており、笛に使われています。