「ちゅらさん」でおなじみの小浜島。シュガーロードや海岸線の美しさが人気です。が、その素顔は、今も機織りが家々から聞こえ、沖縄で一番笛の名手を多く輩出する伝統的な織物と芸能の島です。
河川がない小さな島にもかかわらず、水が豊かで、サトウキビや米などの農作物が栽培できます。
島を代表する民謡「小浜節」には、その豊かさを感謝し、過酷な人頭税にあえいでいたときも支え合って生きてきた誇りと、島の繁栄を願い、「果報ぬ島(かふぬしま)」と歌われています。
小浜島の中心にあるのが標高99.4mの大岳(うふだき)です。その山頂からは、天気のよい日には西表島、石垣島、黒島、竹富島などの島々が見渡せます。八重山の中心にある小浜島の中心から、ぜひ、島全体、そして八重山の島々を眺めてみてください。その美しさに心を奪われることでしょう。 |
竹富町の島々で米づくりができるのは、西表島、小浜島の2島だけです。周囲16.6kmの小さな島にもかかわらず、島内にはいたるところにカーマ(湧水、泉)が点在し、そのおかげで田んぼに水を引くことができました。が、干ばつには井戸水に頼る生活が続いていたため、1979年からは西表島から海底送水をしています。現在は、サトウキビが主な生産物です。 |
島の年中行事や祭祀は農耕歴と深く関わり、代々受け継がれてきました。 小浜島の結願祭は、旧暦8月の戊亥のスクミから始まり、翌日の己子のショーニチには、舞台で数多くの芸能が神へ奉納されます。島の年中行事の中で豊年祭と並ぶ大きな祭りで、人々は祭りに参加することで、心をひとつにしているのです。結願祭を含む小浜島の芸能は平成6年12月に文化庁から国の「重要無形文化財」に選抜され、島では奉納芸能伝承に積極的に取り組んでいます。(竹富町ホームページから抜粋) |
古くから、島の女性たちは、苧麻(ちょま)を栽培して麻糸を作り、綿を栽培して綿糸を紡ぎ、野生の糸芭蕉から繊維を取って糸を紡ぎ、布を織ってきました。染色も、島の草木を利用していました。特に藍で染め上げた男性の正装クンズン(紺地)は、島人の誇りそのものです。今も、祭の衣装はすべて手作りで、家々から機織りの音が聞こえてきます。 |
魚の集まる場所を知り抜いた島人たちが、潮の干潮を利用して、編み出したのが「垣による漁法」である魚垣でした。世界各地で散見される漁法ですが、海岸線のほぼすべてにわたってめぐらされた魚垣の個々の所有者が明文化されているのは世界中で小浜島のみです。今、海人と島人が協力して、その復活が始まっています。